税金の基礎知識、しっかりチェックしてみましょう。 なお、各記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令等に従っています ので、閲覧時点の制度に対応していない可能性がある点をご留意ください。
●相続税・贈与税/相続税の増税と大衆税化
2011年08月11日(木)
プロローグ
平成22年度税制改正で、第二の基礎控除と言われていました「小規模宅地の減額特例」の適用が不可能となるケースが増えてしまいました。
さらに、平成23年度税制改正法では、遺産の総額から差し引くことができる基礎控除の金額が、縮減される法案が国会審議中です。
このような、たび重なる相続税の改正により今後、特に資産家とも意識をされていないような、都心居住のサラリーマンの方にも相続税が発生するケースが、相当数増えることが予想されます。
具体的な事例でイメージ
被相続人;新宿区落合在住 サラリーマンHさん(50歳)
相続人3名;配偶者Wさん、長男Sさん、長女Dさん
(Sさん、Dさんはともに成人)
相続財産;自宅(戸建)(100平米)土地50百万円
建物15百万円
預貯金と投資信託 12百万円
生命保険金 50百万円
住宅ローン 30百万円あるが団信保険でゼロ
合計 127百万円
分割方法;自宅(戸建)Wさん、その他の財産は法定相続分
自宅土地は、小規模宅地の特例適用で8割評価減となり、課税価格は10百万円となります。
生命保険は、非課税限度額15百万円を控除できますので、課税価格は35百万円となります。
そうなりますと、相続税の課税価格は72百万円となります(土地10百万円+建物15百万円+預貯金と投資信託12百万円+生命保険35百万円)。
現行の相続税制では、
課税価格72百万円 < 基礎控除80百万円 となり、相続税がかかりません。
※ただし、小規模宅地の特例を適用するための相続税申告は必要になります。
改正後の相続税制では、
課税価格72百万円 ー 基礎控除48百万円 = 24百万円
相続税の総額 2、500千円
配偶者税額軽減△1、684千円
納付相続税 816千円
→ 上記のとおり、特に資産家ともいえないような、平均的サラリーマンの方(※)の相続にも、相続税が発生することが、この事例からも見えてきます。
(※)
1 住宅ローンを充分に組めるような上場企業勤務のサラリーマンの方ですと、都心に事例の規模の戸建て住宅を購入することは、特別珍しいことではないようです。
2 長男Sさん、長女Dさんはともに大学生でしたので、預貯金を残していたようです。
上記は、最近にご依頼をいただきました相続事例をアレンジして、シミュレーションをしてみました。
相続税に対する意識が、今後は必要に
特に資産家とも意識をされていないような、都心居住のサラリーマンの方にも相続税が発生するケースが、今後増えることが予想できます。 相続税のシミュレーションを適宜実施しますので、よろしければご相談ください。