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●相続税・贈与税/相続税調査の実際
2011年09月06日(火)
どんな申告に、税務調査は行われるのか
相続税の調査の実態はどうなっているのかという質問を、相続税申告業務を進めていく上で受けることが多々あります。
これは、申告を請け負う税理士としても大きな関心事です。この点、私の経験則から言うと、課税価格2億円超の相続税申告の場合に、税務調査を受ける確率が高まってくるものと理解をして、事に対処をしています。
統計調査を紐解くと、見えてくるもの
ここに、平成20年分の財務省資料があります。課税価格の階級に応じた、納付税額を明らかにしたものです。
これを紐解いてゆくと、課税価格2億円超の相続税申告についての納付税額が、全体の相続税申告についての納付税額の9割近くを占めることがわかります。
他方で、課税価格2億円超の相続税申告の件数は、全体の相続税申告の件数の3割程度にすぎません。
これを念頭に置いたところで、別の資料(国税庁公表数値)を参照します。この統計では、平成21年事務年度の相続税調査の実地件数は1万3千件であり、全体の相続税申告の件数(4万8千件)の3割程度の件数であることが明らかにされています。
上記の統計諸数値をもとにして、課税価格が高い相続税申告について優先的に税務調査を実施する、という国税局・税務署の方針を仮定して、あてはめをしてみます。
そうなると、課税価格2億円超の相続税申告のほぼほぼすべてについて、税務調査を実施している・・・という仮定が成り立つものとも考えられます(3割という割合が、一致することによるもの)。
課税価格2億円超がひとつの目安に
そんなこともあり、課税価格2億円超の相続税申告の実施にあたっては、特に税務調査が行われることを意識したところで、相続人の方からのヒアリングや、遺産の特定・評価を行うように心がけています。
そして、該当する相続税申告の受任にあたっては、税務調査が事後的に行われる可能性が確率的に生じてくることを、特に相続人の方にあらかじめ説明をして意識をしてもらうように、心がけています。
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