税金の基礎知識、しっかりチェックしてみましょう。 なお、各記事の内容は、投稿時点での税法その他の法令等に従っています ので、閲覧時点の制度に対応していない可能性がある点をご留意ください。
●個人の納税/所得から控除できる諸制度
2012年04月05日(木)
雑損控除制度の概要
災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額を所得から差し引く(所得控除)を受けることができます。これを雑損控除といいます。
申告するのはこんな人
・損害を受けた資産の所有者
・損害を受けた資産の所有者が生計を同一にする配偶者やその他の親族であって、その配偶者や親族のその年の総所得金額等が38万円以下である場合
控除の対象になるもの、ならないもの
雑損控除の対象となるのは、住宅や家財、現金などの「生活に通常必要な資産」です。本人が所有する資産だけでなく、生計を一にする家族(所得38万円以下)の資産も含まれます。
一方、別荘や、1個または1組の価額が30万円を超える宝石や貴金属、書画、骨とうなどの「生活に通常必要でない資産」は対象になりません。
また、事業用の資産(店舗や商品など)や山林の損害、詐欺、脅迫による損害も認められません。
どのように計算をするの?
1)資産の時価をベースにして損害額を割り出す
まず、被災した資産の損害額を算定します。
被災した資産の価額は、買ったときの値段ではなく、被災直前の時価となります。被災直前の時価とは、同じものをいま買った場合の値段(再取得価額)から、実態に則した減価償却相当額を差し引いた金額です。
2)この被災直前の時価と被災直後の時価(全損の場合はゼロ)との差額が損害額ということになります。
雑損控除額の計算方法
以下AとBのいずれか多いほうが控除額となります。
A:【「損害額」-「保険金などで補てんされる金額」】-【「所得金額」×10%】
B:「損害額のうち災害関連支出の金額」-5万円
災害に関連してかかった費用も控除の対象になるの?
資産が受けた直接の損害だけでなく、災害に関連してかかった費用、いわゆる「災害関連支出」も損害額に含めることができます。
災害関連支出となるのは、次のようなものです。
・壊れた住宅や家財の取壊し費用や除去のための費用
・住宅などの損壊を防ぐための費用
(豪雪地帯での雪下ろし費用など)
これらの費用については領収書が必要になります。
控除しきれない損失額は翌年以後に繰り越せる
雑損控除額が大きくてその年の所得から引ききれないときは、その分を翌年以後3年間にわたって控除することができます(雑損失の繰越控除)。
この場合は所定の申告書を使い、期限内に申告することが必要です。