インボイスと消費税(2)

Q インボイス制度の全体像を理解したいので、消費税の仕組みのところから教えていただけるでしょうか。

A インボイス制度を知るためには、消費税の「負担」と「国庫に納税される仕組み」を知ることが、遠回りのようではありますが理解のための一番の近道です。以下、順々にその仕組みを解説してゆきたいと思います。

1)仕入税額控除とは・・・消費税の負担と国庫に納税される仕組み 
この仕入税額控除の意味を知るには、消費税の「負担」と「国庫に納税される仕組み」について触れておく必要があります。ここで消費税とは、物品やサービスの「消費」に着目し課税する間接税で、一部のものを除き、国内で行われるほぼ全ての物品の販売やサービスの提供等を課税の対象にする税金です。消費税は取引の各段階で、それぞれの取引に対して10%又は8%の税率により課税がなされます。
消費税は、その名の通り消費者が負担する税で、事業者に負担を求めるものではありません。ですが、消費者が物品を購入したりサービスを利用したりする度に税務署に税金を納めるというのは、現実的に不可能です。そのため、小売業者や卸売業者などの事業者が消費者から消費税相当額を預かり、消費者に代わって事業年度ごとにまとめて納税をする仕組みがとられています。
ここで、消費者が負担をする消費税が、事業者の鎖(チェーン)を通じて国庫に納まるまでの仕組みを、(図表1)において説明します。消費者が負担をする税金分は、事業者の販売する物品やサービスの価格に上乗せされて、製造業者から卸売業者へ、卸売業者から小売業者へ、小売業者から消費者へと次々と転嫁され、最終的に物品の購入やサービスを利用した消費者がそれを負担する仕組みとなっています。このような、消費税分を取引の都度に次々と転嫁するプロセスを踏むことによって、消費者が納税事務を負担することなく消費税を納税できる仕組みが実現されています。

2)前段階税額控除方式から導かれた、仕入税額控除の仕組み

このような消費税の負担と国庫に納まるまでの仕組みは、前段階税額控除方式といわれます。前段階税額控除方式とは、事業者のチェーンの中の、生産や流通の各段階での仕入れに対して二重・三重に税が課されることがないよう、各事業者において、売上げに対する消費税額から仕入れに対する消費税額を控除した金額を国庫に納税をするとの方式です。
こうした前段階税額控除方式から導かれた、各事業者における消費税の納税額の計算式を示すと以下のようなものとなります。そして、この計算式にあるように、売上に係る消費税額から仕入れに係る消費税額を控除することについては、「仕入税額控除」といわれています。

事業者における納税額の計算(仕入税額控除をともなう納税額の計算);
売上に係る消費税額 - 仕入れに係る消費税額 = 国に納める消費税の納付税額

3)仕入税額控除の要件としての適格請求書等
そのうえで、仕入税額控除とインボイス制度との関係を平たくいうと、「インボイス制度」は「適格請求書等保存方式」という、仕入税額控除の一つの方式ということができます。インボイス制度のもとでは、適格請求書発行事業者として登録を受けた課税事業者のみが発行できる「適格請求書」または「適格簡易請求書」を相手方から受けて、それを保存することにより仕入税額控除を行うことができ、それ以外の請求書類の交付を受けた場合には、仕入税額控除ができなくなります。仮に仕入税額控除ができないということになると、消費税相当額を仕入れの相手方に支払ったとしても、国庫への納税額の計算ではその事実を計算に反映できないことになるのですから、事業者の納税額は不本意にも膨らんでしまうことになります。
ここに、インボイス制度が開始された後には、買い手となる事業者が、消費税の課税取引において相手方である事業者から適格請求書等の交付を受け、その保存が行われること(適格請求書等の交付側では、その控えの保存が求められます)が、極めて重要になることがおわかりいただけると思います。

2021/12/26 税理士小林俊道事務所