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(17)インフルエンザの予防接種とインボイス対応

 とある事業所では、全従業員に対して、毎年秋口に近隣クリニックにおいてインフルエンザの予防接種をするよう推奨しています。当月分の従業員立替経費精算の中に、この予防接種代に関するクリニックの領収書(手書きのもの)の提出があったところ、当該領収書にはインボイスに関する記載が皆無です。  

 この点について、インフルエンザの予防接種費用は消費税の課税取引にあたるところ、このままインボイスの交付を受けないと、当該事業者においてはインボイスの8割経過措置の適用による仕入税額控除になります。

 そのうえで、クリニックの多くは社会保険診療(消費税非課税取引)が主な収入源であることからすると、クリニックによってはインボイスの事業者登録を済ませていないことも予想されます。そうであるとすると、インフルエンザの予防接種代についてインボイスの交付依頼をしたところで、その交付が受けられないことも考えられます。

2023/12/28税理士小林俊道事務所

(16)警察のパーキングメーターとインボイス対応

 外出先の少しの用事を済ませる際に便利な警察のパーキングメーターについて、発券機から取り出した領収書にはインボイスの記載が見当たりません。これは警察の違反事件ではないかと息巻いてしまいそうですが、所轄署経由で警視庁に照会をしてみたところ、警察ではパーキングメーターの利用料は「発給手数料」「機械作動手数料」として徴収をしており、消費税法上の行政手数料として運用しているとのことです。

 消費税法上の行政手数料にあたり非課税取引であれば、警察からのインボイスの交付はあり得ず、また民間のコインパーキングとは区別をした経理が求められることとなります。

2023/12/27 税理士小林俊道事務所

(15)郵便切手の購入とインボイス対応

 郵便局やコンビニエンスストア等において切手購入に際して交付を受けた領収書には、登録番号が記載してあっても、適用税率や消費税額に関する記載は皆無であることが通常です。この点、郵便局や郵便切手類販売所の承認を受けている小売店等における郵便切手の購入は、消費税法が定める郵便切手類の譲渡取引に該当します。そもそもの消費税法の非課税取引に該当することから、郵便局等にはインボイスの交付義務はないし、こちら側からインボイスの交付を求めることはできません。

そのうえで、切手を購入したのちに郵便ポストに投函することによって郵便役務の提供を受けたことについては、いわゆる郵便切手特例により、インボイスの保存なくして仕入税額控除が可能です。また、自ら使用する郵便切手類については、継続適用を要件に購入日の属する課税期間の課税仕入れとすることが通達上で認められています。こうしたことから、郵便局等からの郵便切手類の購入取引については、購入した郵便切手を郵便物に貼付して郵送役務の提供を受けるという用途に供する限りにおいては、インボイスの交付を受けないまま仕入税額控除ができることとなります。

 ※郵便切手を貼付した郵便物を郵便局窓口において郵送依頼をする場合は、郵便局より郵便役務の提供の対価としてのインボイスの交付を受けることができます。

2023/12/22 税理士小林俊道事務所